「黒松の芽切りしとくよ。」
「・・いや、私が来月にやりますから。」
「大丈夫、このくらいはできるから。」
「・・じゃあ、針金で印をつけてある枝は芽切りしないでください。」
「わかった。」
翌月。
「印のついてた黒松の芽切っちゃったよ。」
「・・そのようですね・・・。」
「鋏がよく切れて気持ち良かったんだよ。」
「切れ味が良くってさぁ、気づいたら切ってた。」
「・・・(また一年完成が遠のきましたね。)」
「・・・(去年も同じことしてますよ。)」
「・・・(だから私がやりますよって言ったんですよ。)」
愛好家とのやりとりは、医者の言うことを聞かない
患者とのやりとりに似ている。