観察

毎週通う盆栽園に木蓮の樹が植えてあるのだが その花が満開に咲いている。

愛好家さんが あれ?木蓮なんて植えてあったっけ?と何年ぶりで気がついたのか そんな会話から始まる朝だった。確かに毎日通る道でも 気がつかない景色はある。数秒前の景色さえ覚えていないこともざら。

先週 祖母の葬儀があり 大往生の101歳 穏やかにお見送りできた式だった。お葬式には小学1年生の甥も列席しており 感心するほど 長い時間お行儀よく静かに座っていられた。一通り式典が済んで控室に戻ると そこはまだ幼い子供 ゲームなどをせがんできたので 不謹慎かとは思うが 先ほどの式典の祭壇には なんの種類の野菜や果物 お菓子などが供えられていたかの記憶ゲームで遊んだ。

「果物は何が供えられてた?」『パイナップルとオレンジ。』「正解!」「お野菜は?」『にんじん3本と大根とほうれん草』「正解!」「お菓子は?」『ココナッツサブレと三ツ矢サイダーの飴。』「正解!」 同じテーブルにいた大人がうっすらとしか覚えていなかったお供物を6歳の子供がビシッと記憶していたことに 将来大物になる と本気で思った。

意地悪なクイズとして 「次に3つのうち 1つ置いてありました。どれでしょう。お砂糖 お塩 お茶。」『お砂糖。』「残念 正解はお塩でした。」『飴が砂糖だからお砂糖だと思った』と成分で正解をねじ込んできたのには 正直参りました。

盆栽をよく見て観察眼を養うこと。修行時代に親方からしつこく言われた教えのひとつだった。