101歳

顔面を使い捨てマスクのように取り替えたい。ケルヒャーで目玉の裏まで隅々水洗い。顔面コーティング。花粉症に苦しむ私は毎年そんな妄想に吹けながら テッシュ箱を持ち歩き生活する。

101歳の祖母の容態が悪くいよいよかも。と連絡があったのは一昨日。101歳の誕生日に会いに行った数週間前は元気そうだったのに これほど急変するものか。ベットに横になったまま 流動食。全く別人みたい。

起きていたので 少し会話をした。声に力はなく 若干聞き取りにくいが すこぶる記憶力が良く 会話の内容がしっかりしており 70代前半の父親より脳密度が高いと診察されただけはある。

八丁堀のカフェでピーナッツや乾燥バナナを食べたこと。神奈川出身の中野愛子ちゃんと仲良しだったこと。思い出話は戦前の青春時代。

年を取るとどうしても身勝手やわがままになるが 祖母にはそれがなく 自分でやれることは自分でやる 他人がやらなくても自分が気づいたらやれば良い。の精神で生きてきたからか 101歳になって ベットに横になっていても「何もしてあげられなくてごめんね」という気遣い。

「ありがとうね」「幸せだよ」祖母が何度も何度も言うもんだから 今にもお別れが来ちゃうんじゃないかと 笑顔で対応しつつ心がぎゅーっとなる。

「幸せだよ」って 本心?それとも家族を心配させたくなくて?

どちらにしてもうちのおばあちゃんは上品で優しい。