ご褒美

禁酒100日達成のご褒美はデニムパンツの新調。

体系を崩して買い物は控えていたため ヘビーローテーションを繰り返し寿命を迎えた洋服多数につきやむなく。と言うのが正直なところ。

せっかく新宿まで出てきたので ご近所の東京オペラシティアートギャラリーで開催中の「篠田桃紅展」へ足を運ぶ。昨年107歳で亡くなった書家篠田桃紅。

存在は知っていたが作品を意識して鑑賞したことがなかったので この機会にしっかり触れておこうと思い期待値半分で訪問。

感想は「炭は面白い」来てよかった。

炭の表現はにじんで かすれて 飛び散って 日本人だからなのかその質感が心を落ち着かせる。

小学生の頃に硯の上でギコギコ炭を擦って 子供ながらに意識を集中させると 炭の匂いが香り 姿勢を正し無言で半紙に向き合う部屋には張り詰めた空気感が満たされる。

そんな遠い記憶と目の前の作品とがいつしか一体化するような感覚に。これは炭の力?書の力?

とにかく 作品の世界と自分がどこか繋がっているような距離感で感じたのは。なぜ?作品の力によって引き込まれたかな。

第2会場では 篠田桃紅と同じ抽象表現の作品が展示されているのだが 油彩 水彩 グワッシュ ペンキ 顔料 岩絵具などなど 作家によって使用する絵具が違う作品たち。

それらは炭と和紙の組み合わせだからこそ滲み出る「落ち着きの品格」はほぼ皆無であり 類似展示の意図とは逆に炭の唯一無二の存在感を引き立たせるものだった。

炭での表現を鑑賞した時の外国人も似た感覚を持つのだろうか。きっと違うと思うが 海外での評価がすこぶる高い作家というので 日本人として嬉しく 日本人は炭や書との付き合いを見直すべきだと強く感じた。

隅に置けない炭。