靴の思い出

長袖を着ていても寒く感じる日だった。

衣替えするほど服を所有していないので

半袖と長袖が入ったケースからパッと

取り出すだけなのだが 朝6時の様子で

どちらを着るべきかの判断はなくなり

これからは毎日長袖になるのだろう。

作業着にこだわりはなく 同じ種類の

同じ格好。靴も10年以上同じメレルの

カメレオンを使用している。

そういえば 修行時代お金がなくて

生活していくだけで精一杯だった頃。

半年間コンビニの遅い時間勤務バイトを

していた。ある日店の外のゴミ箱に

新品のナイキの靴が捨てられていたのを

発見した。今思うと誰か捨てたのでなく

捨てられたと言う表現が正しい印象なの

だけど それを見つけた貧乏な私は

思わず深夜の夜空を見上げて

神様ありがとうございますっ!って本気で

感謝した記憶がある。天からの恵み的な。

声に出し 少しうるっとしていた22歳。

誰かの悲しみよりも 貧しさゆえの幸せが

優ってしまった恥ずかしい過去の思い出。